終末期のゆうちゃん

大工さんで筋肉質なゆうちゃんはいつも真っ黒に日焼けをして
いました。


腕だけで棒をよじ登って行ったり
どんなに重たい物でも持ってくれました。だけど
大工仕事は自宅に関しては何もしてくれませんでした。
簡単な棚を作ってとか
ここにくぎ刺してなんていうのも却下、道具は仕事以外で使いたくないと
言われてました。


ある日
なんか家の中でドリルの音がする???
覗いてみたらゆうちゃんが壁に鍋とか置ける棚を作ってくれていました。


どうした???
聞いたら「なんとなく^^」


そして棚を二つ作ってくれました。前から作って欲しくて
シンクの上の棚は私には高すぎで届かないし
鍋等の収納に困っていたからとても嬉しかった…
ゆうちゃんから初めて作ってもらったのだから。けれど


それからすぐに倒れました…


なんか予感でもあったのかな…?


写真を撮るのも嫌いでした。
そんなゆうちゃんがいつの間にかスーツ姿の写真を柱にはっておいたのを
気が付いて
これなに?
「友達の結婚式のやつだけど俺が死んだら遺影にして」


なんでそんな縁起でもないことを?


棚の時期と写真の時期はほぼ一緒です…なので本当に遺影になりました。


今ゆうちゃんに聞くことは出来ないけど予感あった?聞いてみたいです。


倒れて二回目の脳内出血を起こして
意識不明な時
誰からか忘れましたが
亡くなる時って黒いのが体から出る人いるんだよって聞きました。


意識不明の3日間
ゆうちゃんは鼻から何分かおきに黒い液体をクジラが噴射するように
ピュ、ピュって出してました。看護師さんに話をしたら
上を向いているので気道を詰まらせると悪いからと
ストローのような物を鼻に入れられ過ごしていました。
いくら呼び掛けても顔を触ってもピクリとも
してくれません。
脳幹、人間の一番大事な場所に血がかぶってしまったため
息をしてるだけ…


奇跡を信じたけどもうゆうちゃんの声も聞けない。


脈が3日間ずっと150とかで
先生はずっと走り続けてるくらいの速さだねって
言ってました。
そして最期の日


ゆうちゃんはとても広い部屋で
前オペ室だったのか?ってくらいの
広さの中で
40人くらいが集まってくれている中
下顎呼吸となり
心電図が一本の線になって


暫くしてまた心臓が動いて
何度か繰り返してから


先生から死亡時刻を告げられ天に帰りました…


その後看護師さんがゆうちゃんをキレイにするから
一緒にしませんか?って言ってくれて
3人で綺麗に整えました。まるで生きているように眠ってるゆうちゃんに
お疲れ様とだけ言いました。


ゆうちゃんを葬儀屋さんが迎えに来る間お兄さんがあっちこっち
電話していたような気もしますが
私の心があっという間の出来事についていけず
ゆうちゃんがいないって事すら
受け止められずにいます。
今年も年賀状すらだせず…


スーパーにもいけず
あれから何年経ったとしても私の中ではまだ
あの日なんです。


ゆうちゃんに会いたいと思っても
夢にも出てきてくれない。
ゆうちゃんと20年一緒にいて
でもたった20年で‥年上だったからどっちが先に逝くかって
話をたまにすると
俺に決まってるだろ~そう言っていたゆうちゃん。
本当にその通りになったけど
まだ早すぎ…


外を歩くとたまに材木の匂いがします。
ゆうちゃんと同じ匂い…